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第3世代有機EL発光材料を利用した高効率・高耐久性有機ELデバイスの実証に成功

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九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER)水素製造研究部門主任研究者及び最先端有機光エレクトロニクスセンター長の安達千波矢教授の研究グループによる研究成果が、Nature姉妹誌のオンラインジャーナルである『Scientific Reports』に掲載され、注目の論文に選ばれました。

 ■ 概要

有機EL(有機発光ダイオード:OLED)は、次世代ディスプレイや照明⽤途として魅⼒的な発光デバイスとして期待されています。九州⼤学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)は、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料による第三世代の有機発光材料(Hyperfluorescence)の実⽤化上の技術課題である耐久性について、本材料を⽤いたOLED の耐久性に関する検証を世界に先駆けて実施し、そして、 同OLED の発光層中のキャリア再結合位置を制御することによって、従来のリン光材料を使ったOLED に匹敵する耐久性がTADF 材料においても得られることを実証しました。この結果は、TADF 材料が電気励起下において本質的に安定であり、TADF 材料が実⽤化にも耐えうることを⽰しています。今後さらに、デバイス構造を最適化していくことによって、デバイスの耐久性は向上していくものと期待されます。本研究成果は、Nature 姉妹誌のオンラインジャーナルである『Scientific Reports』に掲載され、注⽬の論⽂に選ばれました。

 ■ 背景

昨年12月にNature誌にて、九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)で開発した熱活性化遅延蛍光(TADF)材料による第三世代の有機発光材料(Hyperfluorescence)を使った高効率OLEDについての成果報告を行いました。この発表後、世界中で追試が始まるとともに、TADF材料を利用したOLEDの耐久性に関する検証について期待が集まっていました。今回、この新しい第三世代の有機発光材料を用いたOLEDの耐久性について、第二世代の有機発光材料であるリン光材料の代表的な材料と比較した実験を九州大学にて行い、実証実験について発表しました。

■ 内容・効果

これまで、2009年度にポルフィリン誘導体(SnF2OEP)を用いて、電流励起下での遅延蛍光現象を確認しましたが、その外部EL量子効率(hext)は~0.1%程度の極めて低い効率に留まっていました。その後、内閣府最先端研究開発支援プロジェクト(FIRST)において、TADFの原理を量子化学的な視点から考察し、新規に分子設計・合成を行い、トリアジン−カルバゾール誘導体を中心とした材料設計を進め、2011年度にはhext~5.3%、2012年夏には、hext~11%を、2012年冬には、内部EL量子効率(hint)がほぼ100%の発光効率を示す新しい発光分子(カルバゾリルジシアノベンゼン誘導体:CDCB)の創出に成功し、Nature誌において報告を行いました4。このように、TADF機構を利用したOLEDに関する着実な研究展開を進めてきましたが、実用化を目指す上で重要な技術課題であるOLED駆動耐久性に関する実証研究は実施されておらず、その検証結果に期待が集まっていました。

本研究では、CDCBをOLEDの発光ドーパント※1として用い、発光層および電荷輸送層に用いる有機半導体材料との組み合わせでのデバイス構造の最適化を進めるとともに、OLEDの発光層中で生じるキャリア再結合位置※2を制御することにより、理論的に予測される外部EL量子効率を維持しつつ、輝度半減時間2,800時間を示す高効率・高耐久性OLEDの創出に成功しました。この輝度半減時間は、代表的なリン光発光材料である、トリス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)を用いたリン光OLEDでの輝度半減時間(4,000時間)に匹敵する性能であり、このことは、TADF材料が電気励起下においても電気化学的に安定であることを示しており、実用化において十分に耐えられる可能性を示しました。本研究成果は、レアメタルを含有する有機金属発光材料を使わなくとも、高効率EL発光と高耐久性の両立が可能であることを確実なものとしました。今後、OLEDの発光材料は、蛍光、リン光に次ぎ、第三世代のTADF材料へ大きくシフトしていくことを示しました。

 ※1 発光ドーパント:通常、有機ELの発光層はホストとドーパントから形成され、本PJで開発された有機発光材料(Hyperfluorescence)はドーパントとして用いることにより、高効率な熱活性化遅延蛍光(TADF)を発現することができる。

※2 キャリア再結合位置:有機ELは陽極から注入される正孔と陰極から注入される電子が発光層にて再結合することにより発光する。この再結合が発光層の表面もしくは中央など、どの部分でおこなわれるかによって、発光効率や耐久性が変化するため、再結合位置を制御することが重要となる。

 

■ 今後の展開

 OLED に代表される有機発光デバイスの実⽤化を実現するためには、そのデバイス耐久性を向上させることが⾮常に重要な技術課題です。今後、アカデミックな視点から、より詳細な物性解析を進め、有機発光デバイスの学理の確⽴と創出に挑戦していきます。また、TADF を発光中⼼に⽤いたOLED の迅速な実⽤化を⽬指して、材料開発・デバイス開発・プロセス開発を統合し、光の三原⾊を⽰す⾼効率なRGB 発光材料のラインナップ、⽩⾊OLED、実⽤レベルの耐久性の実現へと研究開発を進めていきます。

【参考図面】

 

■ 論文タイトル

 Promising operational stability of high-efficiency organic light-emitting diodes based on thermally activated delayed fluorescence

DOI: 10.1038/ srep02127

Publication Date (online); Jul 03, 2013

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<報道記事>

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