近年のデータ科学の発展にともない、化学・材料分野でもデータ科学を融合する研究が活発に行われています。エネルギー、環境、バイオ等の多方面で社会を支える基幹材料群である機能性高分子分野への適用も研究されはじめていますが、構築された機械学習モデルの多くはブラックボックス化しており、機械学習単独での利用が想定されているため、研究者の知識・経験をサポートして新材料設計を効率化する様なモデル開発は行われていませんでした。
九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(WPI-I²CNER)/大学院工学研究院の藤ヶ谷剛彦教授らの研究グループは、燃料電池や水電解装置の中核部品を担うアニオン交換膜材料を対象に、2つの教師なし機械学習モデルを連携させることで化学構造情報に基づく材料マップを作成しました。さらに、マップ上の各材料データ点をアニオン伝導度(アニオン交換膜の重要物性)の値に応じて色付けることで、多様なアニオン交換膜のアニオン伝導度と化学構造の特徴・関係性を明らかにし、材料マップを用いた材料設計の効率化を提案しました。
研究者は自身の知識・経験に加えて今回作成した材料マップを参照することで、化学構造と物性の関係性を俯瞰しながら自身の思考を深め、効率的に高性能な材料の設計・開発に取り掛かることができます。また、マップ作成手法は汎用性があり、様々な材料の開発を加速させる波及効果が期待できます。
本研究成果は、Wiley-VCHが発行する国際学術誌『ChemElectroChem』オンライン版で令和6年7月15日(月)に公開されました。
プレスリリース本文は九州大学HPよりご覧いただけます。
掲載誌:ChemElectroChem
タイトル:Unsupervised Machine Learning-Derived Anion-Exchange Membrane Polymers Map: a Guideline for Polymers Exploration and Design
著者名:Yin Kan Phua, Nana Terasoba, Manabu Tanaka, Tsuyohiko Fujigaya*, Koichiro Kato*