前田修孝准教授(マルチスケール構造科学ユニット/CESD)は、理化学研究所(理研)環境資源科学研究センターとの共同研究により、1種類の触媒を用いて同じ反応基質と反応試薬との反応で4種類の全く異なる有機反応を選択的に実現する「四重スイッチング触媒反応系」の開発に成功しました。
反応の切替えは、添加剤(アミン類:窒素を持つ化合物)や反応温度といったごく小さな条件変更のみで達成されました。触媒にはシリコンナノワイヤーアレイ(SiNA)にパラジウム(Pd)を固定化したSiNA-Pdを用い、触媒量はわずか65mol ppm(原料1molに対して65ppm、0.0065mol%)でしたが、反応物の高い収率と触媒の再利用性を示し、金属残渣も医薬品基準を満たしました。
さらに本研究では、マイクロ波照射において磁場成分が触媒活性化に不可欠であること、変調励起赤外分光法(ME-IR)と位相敏感検出法により、マイクロ波の磁場成分が触媒のシリコンナノワイヤー構造を動的に活性化していることを確認しました。これはマイクロ波化学の原理解明という点でも大きな前進であり、有機合成プロセスの多機能化、創薬化学の大幅な効率化に新しい可能性を開くものです。
本研究成果は、科学雑誌「ACS Catalysis」オンライン版(2026年2月5日付)に公開されました。
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【論文情報】
掲載誌:ACS Catalysis
タイトル:Quadruple Switchable Catalysis: sp3 C–H Arylation, Aminomethylation, sp2 C–H Arylation, and Deiodination
著者名:Abhijit Sen, Yuta Matsukawa
DOI:10.1021/acscatal.5c08315