概要

研究目標

カーボンニュートラル・エネルギー社会へのシフトは世界的に取り組まなければならない重要な課題です。I²CNERは必要な革新的科学と分野融合による新しい学問領域を開拓して、社会の脱化石資源化に貢献します。それと同時に、エネルギー価格が高騰している現在、豊かな生活を支えるエネルギーの確保は、世界的に重要な課題です。I²CNERでは再生可能エネルギーを水素またはCO2から得た炭化水素へ変換利用する社会システムを提案し、カーボンニュートラル社会の構築に寄与したいと考えています。

総長メッセージ

世界とともに拓くカーボンニュートラル社会の未来

九州大学総長
赤司 浩一

資源・エネルギーの安全保障や持続可能な利用に加え、エネルギーの安定供給・経済成長・排出削減の同時実現を目指す「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」は、世界が直面する最も重要な課題の一つです。この課題を解決し、持続可能な社会を実現するためには、革新的な科学技術の創出と、その成果を社会へとつなげる国際的な連携が不可欠です。

九州大学は、「世界最高水準の研究の展開とイノベーションの牽引」を使命として掲げ、「資源・エネルギー安全保障・GX」「AI・半導体」「創薬・先端医療」「光・量子材料」の4つの領域を中核として、世界最高水準の研究成果の創出を加速しています。その中で、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)は、「資源・エネルギー安全保障・GX」分野を牽引する研究組織として、本学の国際研究を先導する重要な役割を担っています。

I2CNERは、2010年に文部科学省「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」の採択を受けて設立され、2020年にWPIアカデミー拠点に移行しました。設立以来、世界各国の優れた研究者が集う国際研究所として、海外の大学・研究機関との強固なネットワークを築き、再生可能エネルギー、水素製造・利用、高効率エネルギー変換、CO₂分離・回収・利用、地中貯留など、カーボンニュートラル社会の実現に不可欠な最先端研究を推進するとともに、分野や国境を越えた国際共同研究を発展させてきました。

また、これらに加え、エネルギーと資源を一体的に捉えた学際研究を推進し、基礎研究から社会実装までを見据えた研究体制の構築を進めています。特に、九州大学が戦略的にパートナーシップ構築を進めているイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校をはじめとする世界トップレベルの大学・研究機関との共同研究や研究者交流を推進するとともに、積極的な国際頭脳循環を通して、新たな知の創出と次世代研究者の育成にも力を注いでいます。

九州大学は、世界の大学、研究機関、産業界との連携をさらに発展させ、卓越した研究成果の創出と社会実装の推進により、持続可能な社会の実現に貢献します。I2CNERには、その中核拠点として、世界と連携しながら、未来社会につながるグリーンイノベーション創出を先導することを期待しています。

皆様には、今後ともI2CNERの活動に温かいご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます

所長メッセージ

カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER:アイスナー)のウェブサイトへようこそ。

カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所長
石原 達己

カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)は、2010年にWPI(World Premier International Research Center Initiative)拠点採択に伴い、「カーボンニュートラル・エネルギー」という名を冠した当時唯一の研究所として設立され、2020年にWPIアカデミーに移行しました。この間、WPIのミッションである次代を先導する価値創造として、基礎研究の社会的意義・価値向上を推進してきました。

現在の地球温暖化などの環境変動問題は深刻さを増しており、再生可能エネルギーに立脚するカーボンニュートラル社会への移行が、世界的に取り組むべき重要な課題となっています。化石燃料を中心に使用する現在の社会から、再生可能エネルギーに立脚した社会への移行は、依然として多くの課題があり、革新的なエネルギー変換技術のみでなく、物質とエネルギーが連携した利用体系の構築が必要で、総合的な社会システムの設計が求められています。

太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、地域偏析のない地球上のすべての人に平等に与えられるエネルギーです。しかしながら、再生可能エネルギーは変動が大きく、エネルギー密度が希薄なので、平準化と濃縮および有効な利用法の開発が必要です。I²CNERでは、効率よく再生可能エネルギー、特に太陽光エネルギーを電力に変換する太陽電池や、水素を中心とするエネルギーキャリアに変換可能な水蒸気電解などの革新的な材料とプロセスの開発を行っています。また、CO₂を炭素資源および水素のキャリアと考え、CO₂の有用化合物への効率的な変換プロセスについても研究しており、特に大気中で希薄になったCO₂についても分離可能な材料の開発に取り組んでいます。一方で、太陽エネルギーを直接水素などに変換可能な、色素修飾やバイオ系などの革新的な光触媒についても、新しい分野融合科学を展開しています。最終的には、CO₂の地中貯留も必要であるため、貯留技術や貯留されたCO₂の地中での安定性などについても検討しています。このように総合的に、時間と距離のスケールの異なる技術を融合し、革新的な科学を発信することで、カーボンニュートラル社会の創出に貢献したいと考えています。

これまで、 I²CNERでは効率的な変換科学の創出を行い、カーボンニュートラルな社会の実現に取り組んできましたが、新たに高速変換というキーワードを加え、有効に利用されていないエネルギーにも着目し、分野融合で、新しい学問領域を構築しています。WPI拠点として培った基礎研究を社会実装につなげて、カーボンニュートラルな社会の実現を目指し、社会システム移行のシナリオ提案も含めて貢献します。