世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)6拠点合同シンポジウム

世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)6拠点合同シンポジウム

講演者

黒木 登志夫
WPIプログラムディレクター / 日本学術振興会学術システム研究センター 副所長
■ プロフィール
WPIプログラム発足当初から、プログラムディレクターとして、世界から広く認められ国際的に開かれた研究拠点の形成に努力してきた。がん研究者として40年間の研究生活の後、岐阜大学の学長をつとめた。研究者としての経験、学長時代の苦労が、プログラム・ディレクターとしての活動に活かされている。
【水素エネルギーを利用した低炭素社会の実現をめざして】
ペトロス ソフロニス
九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER) 所長
■ プロフィール
1957年ギリシャ生まれ。イリノイ大学教授。水素社会の安全に関わる材料の水素脆化の問題を研究。水素による材料の破壊メカニズムを合理的に説明する力学理論を初めて提案。米国国立科学財団、米国エネルギー省などから表彰多数。2010年12月九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所所長に就任。
■ 講演概要
私たちの生活に欠かせないエネルギーの将来のあるべき姿はどのようなものでしょうか。世界は今、二酸化炭素排出が少なく、経済的で、次世代も使用可能な持続性のある安心・安全なエネルギーを必要としています。CO2を発生しないエネルギー製造や、発生したCO2を回収し地下深くに貯留するための科学技術を創出し、カーボンニュートラルな水素エネルギー社会の実現を目指すI2CNERの研究を紹介します。
【水素からのエネルギー : 生物に学ぶエネルギーのつくり方】
小江 誠司
九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER) 主任研究者 教授
■ プロフィール
1991年東京理科大学卒業、1993年同大学大学院修了、1996年総合研究大学院大学で博士号取得。分子科学研究所(助手)名古屋大学(助手)、大阪大学(助教授)を経て、2005年九州大学教授に就任。2008年「水中・常温・常圧での水素分子の活性化」の研究で日本学術振興会賞を受賞。
■ 講演概要
自然界では、ある種の生物が水中・常温・常圧で水素から電子を取り出しエネルギーとして利用することが知られています。しかし、その仕組みはまだわかっていません。そこでI2CNERでは、その仕組みを解明・応用する最先端科学の研究を行っています。本講演では「水中・常温・常圧で水素から電子を取り出す方法」と「世界初、分子で創った燃料電池」の研究を紹介します。
【夢に形を与える】
小谷 元子
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 副機構長
■ プロフィール
数学者。2005年「離散幾何解析学による結晶格子の研究」によって第25回猿橋賞を受賞。2008年には東北大学ディスティングイッシュトプロフェッサーに任命される。数学と物質材料科学の連携を精力的に進め、2011年5月東北大学原子材料科学高等研究機構の副機構長に就任。
■ 講演概要
私たちは様々な材料の恩恵の中で暮らしています。建物も、調度品も、パソコンも、それぞれの用途に適した材料で作られています。科学の夢を実現するための研究が材料科学です。環境・エネルギー問題がますます深刻化するこれからの地球において、どんな材料が求められているでしょう? 生活スタイルを根本から変えるような新しい材料科学を創出するAIMRの取り組みを紹介します。
【宇宙の暗黒面】
村山 斉
東京大学 国際高等研究所 数物連携宇宙研究機構(IPMU) 機構長
■ プロフィール
1964年東京都八王子生まれ。素粒子から宇宙へ、自然界の根幹に関わる謎の解明に取組む。1991年東京大学大学院において博士号を取得。2000年カリフォルニア大学バークレー校物理教室教授に就任。2007年10月東京大学数物連携宇宙研究機構機構長就任。
■ 講演概要
「万物は原子で出来ている」のは全くのウソとわかり、原子は宇宙全体の5%にも満たない。銀河、星が出来て私たちの存在に必要な惑星が生まれたのは未知の物質、暗黒物質のお蔭であり、宇宙の23%を占める。また宇宙が膨張するに伴ってわき出すエネルギー、暗黒エネルギーが宇宙を引き裂き、宇宙に終わりをもたらすかもしれない。宇宙の暗黒面、観測に基づく現代宇宙論を紹介し、宇宙の始まりと終わりに迫ってみる。
【多能性幹細胞(ES/iPS細胞)の大きな能力と限りない可能性】
中辻 憲夫
京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS) 拠点長
■ プロフィール
理学博士(京大)。米国MIT等で研究員、国立遺伝学研究所教授、京大再生医科学研究所教授・所長を歴任、現在iCeMS拠点長。日本で初めてヒト胚性幹(ES)細胞株樹立に成功し分配体制を確立。ES/iPS細胞でアルツハイマー等の疾患モデルを作成、病態解明や創薬に活かす研究をリードする。
■ 講演概要
京都大学物質-細胞統合システム拠点では、化学や物理などの物質科学と、細胞科学を融合した学際分野を発展させることによって、幹細胞研究などの新たな展開を進めている。多能性幹細胞(ES/iPS細胞)は、限りない増殖能と体を作る多種類の細胞に変化する多分化能を合わせ持ち、細胞治療や新薬開発などに応用できる。特に化合物/マテリアルを使って幹細胞を制御し、細胞生物学や医学創薬などの画期的な進展を目指している。
【ライブで[]る免疫】
鈴木 一博
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター(iFReC) 主任研究者 准教授
■ プロフィール
東京大学理学部化学科卒。大阪大学医学部医学科卒/医学博士。カリフォルニア大学サンフランシスコ校研究員を経て、2011年4月より大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫応答ダイナミクス研究室准教授に就任。研究内容は「多光子顕微鏡を用いたライブイメージングによる免疫細胞動態の解析」
■ 講演概要
近年の「視る」技術の進歩は生物学に新たなムーブメントを巻き起こしています。特に2光子励起顕微鏡を用いた生体イメージングは、生きた組織の細胞の様子を「ライブ」で観察することを可能にする技術として注目を集めています。今回は、この技術を使って「ライブで免疫を視る」ことを通して初めて明らかになった免疫の仕組みについて紹介します。
【逆転の発想でつくる新しいコンピュータ】
長谷川 剛
物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA) 主任研究者
■ プロフィール
1987年東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程修了。理学博士。日立製作所中央研究所研究員ならびに主任研究員、理化学研究所先任研究員を経て、2002年より物質・材料研究機構勤務。2006年より横浜市立大学客員教授を兼務。原子の世界に魅せられた研究者のひとり。
■ 講演概要
上手くいかないときこそ、チャンス、それは研究にも当てはまる。自然は嘘を付かない。予測と違う結果は、新しい現象の発見かも知れないのだ。また、欠点は見方を変えれば利点になることもある。そんな実験の失敗から始まった、原子の移動を制御する新しいスイッチの研究を紹介する。電子よりも重たい原子を動かすスイッチはスピードが遅いが、電子には無い特徴を活かせば、人間の脳のような新しいコンピュータを開発できるのだ。

コーディネイター

枝廣 淳子
環境ジャーナリスト/有限会社イーズ 代表取締役
■ プロフィール
東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。企業のCSR活動等を支援する「有限会社イーズ」代表、持続可能な社会に向けた情報発信を行う環境NGO「ジャパン・フォー・サステナビリティ」代表。アル・ゴア氏著『不都合な真実』の翻訳など、環境問題を中心に多数の執筆・翻訳で知られている。
(株)JTBビジネスサポート九州 ICS営業部内 世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)6拠点合同シンポジウム運営事務局 
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