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研究紹介

研究紹介

研究の経緯

地球環境問題に関わる冷媒の変遷

  • 1930年代、画期的な新冷媒の登場

    CFC(Chlorofluorocarbon)and HCFC(Hydrochlorofluorocarbon)

    環境問題:(1980年代)オゾン層破壊

  • 対策:塩素を含まないフロンガスの採用

    HFC(Hydrofluorocarbon)冷媒および混合冷媒

    環境問題:(2000年代)地球温暖化

  • 対策:低 GWP 冷媒の採用

    HFO(Hydrofluoroolefin)冷媒および混合冷媒

    リスク問題:燃焼性・安全性

現在の我々の目的は、以下の特徴を有する次世代冷媒の探索である

  • (1)オゾン破壊係数(ODP)が小さいこと
  • (2)地球温暖化係数(GWP)が小さいこと
  • (3)不燃性、あるいは微燃性であること
  • (4)無毒、もしくは毒性が低いこと

CFCやHCFCは、1930 年代に冷凍機や空調機の作動流体として開発され、我々の生活向上に大きく貢献しています。しかし残念なことに、我々の生活が向上することと反比例するかのように、地球環境は悪化をたどっています。 地球環境問題の大きな2つの問題、「オゾン層破壊」「地球温暖化」に、冷媒は関係しています。したがって、現時点で我々の本質的な職務は、ODP(オゾン層破壊係数)とGWP(地球温暖化係数)が小さく、可燃性が小さく、毒性のない、地球に優しい次世代冷媒を開発することです。

新冷媒開発の流れ

新規冷媒(混合冷媒を含む)実用化へのスキーム

1. 新冷媒の選定

空調機器システムを対象としての冷媒の選定する。

2. 熱力学および輸送物性の測定

基礎物性となる冷媒の熱力学性質、および輸送性質の測定を行う。

  • ■ I²CNER:PvT性質、飽和蒸気圧、飽和密度、臨界点、気液平衡
  • ■ 富山県立大学:気液平衡、PvT性質
  • ■ 日本大学理工学部:比熱、Pvt性質
  • ■ 産業技術総合研究所:音速
  • ■ 長崎大学:表面張力
  • ■ 佐賀大学:熱伝導率、粘性係数
  • ■ 海外協力機関:The National Institute of Standards and Technology (NIST) (USA)、Marche Polytechnic University (Italy)、Mines Paris Tech (France)

3. 状態式の作成

熱力学性質の実測値に基づいて状態式を作成し、REFPROP等のソフトウェアで計算できるようにする。

  • ■ 九州産業大学
  • ■ The National Institute of Standards and Technology (NIST) (USA)
  • ■ The Catholic University of America (USA)
  • ■ Braunschweig University of Technology (Germany)

4. 伝熱性能評価

入手した冷媒の基盤情報を利用して、各種熱交換器の伝熱性能評価が行う。

  • ■ I²CNER
  • ■ 佐賀大学
  • ■ 長崎大学
  • ■ 東京海洋大学
  • ■ University of Padua (Italy)

5. サイクル性能評価および実機試験

熱物性情報、伝熱特性情報を揃えた上で、最終的には機器システムを構築し、新しい冷媒がシステムの中で、どのような性能を示すかを評価する。

  • ■ I²CNER
  • ■ 九州産業大学

最終目標:次世代冷媒の実利用のための基盤技術の確立