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2016.06.28

【プレスリリース】カーボンナノチューブの新しい発光機能を創出

九州大学大学院工学研究院/カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)の白木智丈助教、中嶋直敏教授、工学府博士後期課程1年生の白石智也、東京工業大学のGergely Juhász准教授らの研究グループは、ナノ炭素材料であるカーボンナノチューブ(CNT)の化学修飾(化学反応により別の分子の連結や分子構造の変換を行うこと)に用いる分子の設計に基づいて近赤外領域の新たな発光が生み出せることを明らかにしました。

CNTが元々示す近赤外発光は、発光効率が低くその波長もCNTの構造に依存するため近赤外発光材料としての利用において新たな高機能化手法の開発が望まれていました。本研究では、化学修飾を少量に制限した化学修飾CNTにおいて、従来とは異なる修飾構造をCNT上に形成させることにより、これまでよりも大幅に発光波長の変換が可能な技術を開拓することに成功しました。近赤外光は、生体に対する透過性が高いことから生体深部の可視化や診断を可能にするバイオ・医療技術や光損失の少ない通信技術への応用が期待されます。本材料では近赤外領域において様々な発光波長の創出が見込めることや、従来の近赤外発光材料で用いられていた希少金属を必要としないことなどから、様々な先端応用技術への貢献が期待されます。

本研究成果は、2016年6月27日(月)午前10時(英国時間)に国際科学誌Natureの姉妹誌であるオンラインジャーナル『Scientific Reports』で公開されました。

 

(参考図)

(a)本研究で新規に設計・合成した修飾分子2Dzの化学構造、(b)CNT上で形成される修飾構造(1Dzは従来系で用いられていた修飾分子)、(c)発光スペクトル:2Dzで修飾したCNT(2Dz-CNT)で新たに観測された近赤外発光(赤で網掛けした領域)。従来系よりも、大きく長波長シフトしている

 

研究者からひとこと:

本研究は、白石智也君が博士後期課程への進学を決めた際に新規に立ち上げ、ともに進めてきたテーマです。今回得られた成果は、これまでの手法では困難であった新しい近赤外発光材料を開発できうることを示したものであり、白石君の博士に向けた成長とともに本研究が大きく発展していくものと考えています。(白木助教)

 

論文: Emergence of new red-shifted carbon nanotube photoluminescence based on proximal doped-site design

著者: Tomohiro Shiraki, Tomonari Shiraishi, Gergely Juhász & Naotoshi Nakashima

DOI: 10.1038/srep28393

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