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所長からのメッセージ

カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER:アイスナー)のウェブサイトへようこそ。

ペトロス・ソフロニス カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 所長
ペトロス・ソフロニス
カーボンニュートラル・エネルギー
国際研究所長

九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)は2期目を迎え、私個人としてもその進歩を喜び、今後私たちが目指す新たな方向性に胸を高鳴らせています。本研究所は、文部科学省による世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の拠点として2010年に設立されて以降、大きな変貌を遂げました。一つ一つの変化を積み重ねることで研究機関としての機能を強化し、最適な資源利用を実現してまいりました。本年、私たちが最も期待する変革として、エネルギー、特にスマートパワーグリッドのための応用数学の研究開始が挙げられるほか、I2CNERの既存の研究部門全体においてコンピュータサイエンスの連携をさらに強化すること、すなわち、科学的発見とパフォーマンス向上への迅速なアプローチを可能にするためにコンピュータ計算と実験の潜在的な相乗効果をフル活用するアイディアなどもあります。また、グリッドやエネルギーのインポート経路へ与える影響を調査することを目的とした再生可能エネルギーシステムの解析を含めて、エネルギーアナリシス部門の研究領域を拡大する可能性にも大いに期待を寄せています。しかしながら、いかに多くの画期的な取り組みを実施しようとも、カーボンニュートラル・エネルギー社会の実現を目指し、今後も基礎科学研究を着実に継続していく所存です。


最近のI2CNERの特筆すべき基礎研究として、以下にご紹介いたします。カップリングによる化学合成や原子分解能顕微鏡法、第一原理モデリングの研究を続けるイリノイ大学のErtekin助教と石原教授は、チタニアの格子中に導入されたドーパント原子が、水素ガスの光触媒製造の助触媒として非ドープ型の10倍ほどの速度で機能することを初めて実証しました。私たちが認識する限り、これは数あるドーパント種の中でも、実測値と計算予測との初の直接比較となります。中嶋教授による「カーボンの高分子被覆」というアプローチは、固体高分子形燃料電池に用いられる炭素触媒担体やリチウム空気電池用炭素電極の表面機能を劇的に安定化かつ強化します。この発見は、長寿命の電極製造を可能にする全く新しい技術をもたらします。清華大学のZhang教授は、新しいラマン分光法を活用し、懸架した二次元ナノ材料における電荷・熱輸送を決定する基礎物理を解明しました。このさらなる基礎的解明により、半導体、電子機器、電池エネルギー、複合材料産業での二次元材料の統合がより容易なものとなります。小江教授のグループは、酸素耐性ヒドロゲナーゼのモデルとなる新たな酸素活性化のニッケル-鉄触媒の開発に成功しました。このモデル錯体は、鉄に酸素が結合したサイド−オン型・鉄(4価)ペルオキソ化合物の世界初の事例です。また別の共同研究アプローチとして、山内准教授とイリノイ大学のKenis教授は大きな表面荒さを有する銅触媒を用いてCO2の電解還元を行ったところ、エチレン、エタノールへの還元をこれまでの報告値より10倍の電流密度及び最少の過電圧で実現することができました。辻准教授とノートルダム大学のChristensen教授は、斬新な数値シミュレーションと実験により、慣性効果がCO2の動的挙動を左右することや、CO2の貯留量がキャピラリー数と、CO2と水の粘性比の2つのパラメータで決定できることを明らかにしました。これらの発見は、効率的で安全なCO2貯留に貢献すると考えられます。板岡教授と広瀬WPI招へい教授(トヨタ自動車株式会社)は、地理情報システム分析を利用し、燃料電池自動車の水素ステーションの効率的な配置に向けて、設置有望エリアを割り出しました。


ここI2CNERでは、カーボンニュートラル・エネルギー技術の「well-to-wheel」(一次エネルギーの採掘から消費までの全領域)への実装に関する典型的な時間スケールを踏まえた上で、未来について語らなければなりません。私たちは、研究所として次になすべきこと、そして社会全体として次に何が必要か常に考えています。さらには、私たちの基礎エネルギー研究を活用したカーボンニュートラル・エネルギー社会への移行を促進し、未来をより良くする手段を探求しているのです。今後も、一刻も早いカーボンニュートラル社会の到来のために努めてまいります。若手研究者が目標を定め、戦略的で革新的な基礎研究による開発を進め社会へ貢献できるような場を提供し続けることこそが、I2CNERが抱く夢です。


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